米国の「TikTok難民」、中国アプリ「小紅書」に大移動を開始

中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国ユーザーが相次いで中国のSNS「小紅書(RED)」に流入している。米国で近くTikTokの利用を規制する新法が発効する可能性が高まっているためだ。写真や動画を通じて規制に反発する声や、小紅書など競合アプリへの「くら替え」の表明が目立つ。

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15日時点でアップル米国版アプリストアの無料ダウンロードランキングで「中国版インスタグラム」と呼ばれる小紅書が首位につけた。小紅書には写真・動画の投稿やライブ配信などの機能がある。3億人のアクティブユーザーを抱え、中国で最大のSNSの一つだ。

ロイター通信は小紅書に近い人の話として、2日間で70万人以上のユーザーが同サービスに新たに登録したと報じた。TikTokの代替アプリとして話題を呼んだとみられ、米国での流行を受けて他の国でもアプリのダウンロード数が増えている。

米政府や連邦議会は中国側に米国人のデータが奪われる懸念があるとして、TikTokの規制を求めている。これを受けて米国ユーザーが別の中国系SNSに流入する事態となっている。

小紅書では「#tiktokrefugee(TikTok難民)」というハッシュタグがついた投稿が増えており、閲覧数が5億回を超す例もある。「TikTokが禁止されるから小紅書を始めた」と話す動画投稿も目立ち、TikTok規制をめぐる米国政府の動きに疑問をもつユーザー同士の交流の場となっている。

既存の配信者が新規加入者に向けた動画の投稿も続く。フォロワー数170万人を持つ女性インフルエンサーは「小紅書にようこそ。中国人はフレンドリーだから怖がらないで。みんなと交流したい」と英語で発信し、2万件を超える「いいね」を集めた。

米国のユーザーらからは「歓迎してくれてありがとう」といったコメントが寄せられている。

TikTokを規制する米国の新法は、親会社の中国・字節跳動(バイトダンス)が米国事業を売却して中国資本から切り離さない場合、TikTokのサービス提供を19日に禁止する。複数の米メディアが15日までに、規制が発効した場合、TikTokは米国の利用者向けサービスを即日停止する計画だと報じた。

アプリの既存利用者を含め、月間1億7000万人に上る米国の利用者全体に直ちに影響が及ぶことになる。TikTokは新法の差し止めを求める訴訟の中で、1カ月間のサービス停止で、米国の1日あたり利用者の3分の1を失うとの試算を示した。

利用制限が解除されたとしても、大半の動画投稿者や視聴者は競合サービスに移り、TikTokに戻らないとも指摘した。サービス停止による損害は「回復不可能だ」と主張した。

TikTokの米国でのサービス停止が現実味を帯びるなか、TikTokから流出するユーザーやクリエーターを取り込む動きが活発になっている。米メタの画像共有アプリ「インスタグラム」や米グーグルの動画投稿サービス「ユーチューブ」など大手も含め、代替利用が増えている。

(芦川美奈、シリコンバレー=山田遼太郎)

※引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB158460V10C25A1000000/